CardWirthエンジン分析-回避率・抵抗率
にゃかずとばず氏の記事 では、能力判定において適性値・行動力変化・レベルと判定レベルから判定成功確率を算出する方法が紹介された。効果コンテントでも同様の判定がなされているらしい。
CardWirthでは判定式の数をなるべく少なくなるように設計されている。前回の記事 で召喚獣の発動条件とカードの使用条件が等しいという立場に立って分析するというのがうまく行ったので、今回も同じように分析を試みる。
既知の計算式
ダメージ算出
「CWダメージ計算機 」に記載されているダメージ計算式は以下のとおりである。この計算式はGroupASKからのリークであるということなので正しさは保障されている。
適性値=身体的特徴+精神的特徴+行動力変化値
(召喚獣)
適性値=身体的特徴+精神的特徴
(効果コンテント)
適性値=6
(レベル比)
効果量=((適性値/2)+(適性値mod2)+レベル)×入力値/2
(直接入力)
効果量=入力値
- ※「mod2」は2で割った余りが0なら0、0でなければ1を返す。
- ※除算「/2」は小数点以下切り捨て
能力判定
にゃかずとばず氏の記事で分析されていた結果は以下のとおりである。この式もにゃかずとばず氏の手による実験により正しさが統計的にほぼ保障されている。
達成値=(1+実行力)/2+レベル+2d6
目標値=(1+3)/2+判定レベル+2d6
達成値>目標値で判定に成功
ここで、達成値を導く中のダイスロール2d6で12(6のぞろ目)が出たなら自動的成功となり、2(1のぞろ目)が出たなら自動的失敗となる。つまり、絶対失敗でない限り1/36の確率で成功し、絶対成功でない限り1/36の確率で失敗するのである。
この式は以下と等価である。ダメージ計算式とも合致するので、こちらのほうを用いて話を進める。
達成値=(1+実行力)/2+レベル+2d6
目標値=(1+6)/2+判定レベル+2d6
達成値≧目標値で判定に成功
PCのレベル=判定レベルの場合、実行力と判定成功の確率の関係は以下の表のようになっている。レベル差がある場合は実行力を2づつ増減して適用すればよい。レベル1の差は実行力2の差である。
理論値の計算はダイスの目のパターンをプログラムで数え上げて計算した。
実行力 | 判定成功確率(理論値) |
---|---|
29pt | 97.2% |
28pt | 97.2% |
27pt | 97.2% |
26pt | 97.2% |
25pt | 97.2% |
24pt | 97.2% |
23pt | 97.2% |
22pt | 97.1% |
21pt | 97.1% |
20pt | 96.5% |
19pt | 96.5% |
18pt | 95.3% |
17pt | 95.3% |
16pt | 93.0% |
15pt | 93.0% |
14pt | 89.1% |
13pt | 89.1% |
12pt | 83.3% |
11pt | 83.3% |
10pt | 75.6% |
9pt | 75.6% |
8pt | 66.2% |
7pt | 66.2% |
6pt | 55.6% |
5pt | 55.6% |
4pt | 44.4% |
3pt | 44.4% |
2pt | 33.8% |
1pt | 33.8% |
0pt | 24.4% |
-1pt | 24.4% |
-2pt | 24.4% |
-3pt | 16.7% |
-4pt | 16.7% |
-5pt | 10.9% |
-6pt | 10.9% |
-7pt | 7.0% |
-8pt | 7.0% |
-9pt | 4.7% |
-10pt | 4.7% |
-11pt | 3.5% |
-12pt | 3.5% |
-13pt | 2.9% |
-14pt | 2.9% |
実験と考察
効果コンテントの成功率
筆者は以下の条件で以下の実験を試みた:
- 対象PC…レベル5身体的特徴ALL6/精神的特徴ALL±0
- 効果コンテント…レベル5/回避属性/命中修正±0/微ダメージ
ここで、効果コンテントを実行してダメージがあれば回避失敗、無傷であれば回避成功である。
このとき、回避力変化と実際の回避率の関係は以下のようであった。能力判定における実行力と判定成功確率(理論値)の表を比較のために右に載せている。
回避力変化 | 回避率(試行回数:1000回) | 実行力(能力判定) | 判定成功確率(理論値) |
---|---|---|---|
+10 | 完全回避 | - | - |
+9 | 93.0% | 15pt | 93.0% |
+8 | 88.2% | 14pt | 89.1% |
+7 | 88.7% | 13pt | 89.1% |
+6 | 83.5% | 12pt | 83.3% |
+5 | 85.2% | 11pt | 83.3% |
+4 | 76.0% | 10pt | 75.6% |
+3 | 75.7% | 9pt | 75.6% |
+2 | 67.4% | 8pt | 66.2% |
+1 | 65.4% | 7pt | 66.2% |
±0 | 58.0% | 6pt | 55.6% |
-1 | 56.4% | 5pt | 55.6% |
-2 | 46.0% | 4pt | 44.4% |
-3 | 45.1% | 3pt | 44.4% |
-4 | 32.7% | 2pt | 33.8% |
-5 | 32.8% | 1pt | 33.8% |
-6 | 24.2% | 0pt | 24.4% |
-7 | 25.3% | -1pt | 24.4% |
-8 | 25.4% | -2pt | 24.4% |
-9 | 18.1% | -3pt | 16.7% |
-10 | 回避不能 | - | - |
試行回数が1000と心もとないため、表の値にぶれが生じているが、それでも回避力の増減は実行力の増減と等価であることが見て取れる。効果コンテントにおける成功率判定は次の式によって計算されていると推測できる。
成功率(回避属性)
達成値=(1+回避力)/2+レベル+2d6
目標値=(1+6 )/2+判定レベル+成功率修正+2d6
達成値≧目標値で回避
成功率(抵抗属性)
達成値=(1+抵抗力)/2+レベル+2d6
目標値=(1+6 )/2+判定レベル+成功率修正+2d6
達成値≧目標値で抵抗
※成功率修正は、+5…判定無し絶対成功 、-5…判定有り自動失敗
戦闘中の命中判定
筆者は以下の条件で以下の実験を試みた。
- 敵…[レベル5体力1身体的特徴ALL6/精神的特徴ALL±0]×1000
- PC…[レベル5身体的特徴ALL6/精神的特徴ALL±0]×1
- [器用度+好戦性回避属性微ダメージ敵全体]の技能カードを使わせ、
- 死亡数(=命中数)をカウントする。
回避力修正・行動力変化・技能カードの成功率修正を変更しつつ実験を重ねた結果、戦闘時の命中判定は以下のようになると推定された:
成功率(回避属性)
実行力=使用カードの(身体的特徴+精神的特徴+行動力変化値)
達成値=(1+回避力)/2+対象のレベル+2d6
目標値=(1+実行力)/2+カード使用者のレベル+成功率修正+2d6
達成値≧目標値で回避
成功率(抵抗属性)
実行力=使用カードの(身体的特徴+精神的特徴+行動力変化値)
達成値=(1+抵抗力)/2+対象のレベル+2d6
目標値=(1+実行力)/2+カード使用者のレベル+成功率修正+2d6
達成値≧目標値で抵抗
※成功率修正は、+5…判定無し絶対成功 、-5…判定有り自動失敗
まとめ
- あらゆる判定において、レベル1の差は実行力2の差と同等である。
- 効果コンテントは、レベル=判定レベル・身体的特徴ALL6・精神的特徴ALL±0・行動力変化なしのキャストの行動と回避・抵抗処理まで含めて同じ効果(ダメージ量・回復量)を与える。
- レベルN、身体的特徴+精神的特徴=4のキャストの行動は、レベルN-1の効果コンテントと等価。
- レベルN、身体的特徴+精神的特徴=6のキャストの行動は、レベルN±0の効果コンテントと等価。
- レベルN、身体的特徴+精神的特徴=10のキャストの行動は、レベルN+2の効果コンテントと等価。
- レベルN、身体的特徴+精神的特徴=15のキャストの行動は、レベルN+5の効果コンテントと等価。
- 行動力変化は判定の際の実行力を補正する。
- 成功率修正は、判定の際のレベルを補正する。